歌と自分史
今週オンラインの座談会で、ある歌手のアルバム12曲(1972年S47年~1982年S57+1曲1999年)から曲を選びその当時の思い出を語るという趣向に参加した。
残念ながらこの期間は人生の中の一つの節目となった10年で、正直歌を覚えたり、口ずさむ余裕もなかった時期である。
昭和47年大学卒業、会社入社、結婚、翌48年には長女誕生で始まり、思いもかけなかった愛知県での新生活、49年石油ショック直後に住宅購入と続く。50年には会社として起死回生の新製品の立ち上げで、重要部品技術担当となりトラブル対策に追われた。51年祖父が他界。53年には高額工作機械購入に奔走し、この機械を使った部品加工新技術の習得を任された。このように自分史年表に毎年何らかの記入がある10年だった。
また全てが有名な曲で、曲名やサビは知っていたが、12曲全てが女性歌手、演歌なしのアルバムではジャンルが異なっていた。
私より20歳若い参加者の一人にとっては、4歳~14歳。感受性豊かな幼年~少年時代にあたる。ある1曲を聞くと曲そのもとは全く関係のない思い出がいつも頭をよぎると言う。
同じような時期であれば私にとっていくつかの曲と重なる思い出があることに気づいた。
その思い出の曲は「お富さん」、昭和29年に流行った「粋な黒塀、見越しの松に・・・」で始まる流行歌である。読者の皆さんはご存知ない方がほとんどだろうと思う。歌舞伎「与話情話浮名横櫛」が元となる歌詞の意味が7歳の少年に分かる訳がない曲である。ただ流行歌としてラジオからしばしば流れた。
この曲にまつわる思い出は「ハモニカ」である。小学校1年、音楽の時間にハモニカという楽器を知った私はいつもの通り祖父におねだりをして買ってもらった。唱歌と呼ばれる曲を多く練習する中なぜか流行りのこの曲を吹いたことは今でも忘れない思い出として歌と共に自分史の一幕となっている。