”死” 生命最大の発明

この恐ろしいタイトルは、本ホームページ開設時に最初に紹介したスティーブ・ジョブズが演説で述べた言葉である。

この言葉をNHKがBSプレミアムの「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」のタイトルとして番組を組んだ。

https://www.nhk.jp/p/ts/X4VK5R2LR1/episode/te/GN9V6ZYMQZ/

いずれ訪れる ”死” に対してまだ準備が整ったと言える状態ではないが、そろそろ取り掛かっても良い時期にきていると思い、数年前からこのような機会をとらえては少しずつ勉強を進めてきた。

この番組から学んだポイントを整理しておきたい。

1.生と死の境目ははっきりしていない

死に関して書かれた本を何冊か読んだが、必ず出てきていたのが、死を経験した人にインタビューする事が出来ないので、事実は霧に包まれていると言う記述である。
死の定義については種々議論があるが、一般には医師が次に示す兆候から経験的に判断せざるを得ないと言われてきた。
① 心臓:心拍の停止
② 肺臓:呼吸の停止
③ 脳:瞳孔反応の消失
ここまでは”死の定義”として以前に本で読んだ内容であったが、実は心肺停止後に”脳神経細胞”が活性化している事が測定によって明らかになって来たと番組で紹介された。

考えてみれば当たり前のことなのだが、上記の①~③は生にとって重要ではあるが一部の機能が停止した結果であるに過ぎない。
これらの兆候を確認した医師が死亡と判断した後も生命を形作つている37兆個と言われる細胞の多くがまだ生きているのである。だから臓器移植が可能なのである。細胞レベルでの全死までには長いプロセスが存在し、番組ではこれを”死はグラディエ―ション”と表現していた。

心肺が停止した後に脳内に痛みを和らげる神経伝達物質”エンドルフィン”が放出され、これにより脳神経細胞が活性化していると言う。
この後に続くのが臨死体験者が語った内容で、幸福感、死にゆく感覚、光、幽体離脱など従来からしばしば言われてきたことに触れ、恐らくこれらは脳神経の活性化がもたらした結果だろうと推測する。

2.なぜ死なないといけないのか? (死のシステム)

命の上限が存在し凡そ120年が限界だろうと言われてきた。人類史上記録されている最高齢者は122歳だそうである。
人の細胞は分裂を繰り返し、新しい細胞と入れ替わることで老化を防止しているが、この細胞分裂を行うたびに遺伝子の端にある”テロメア”が短くなり、これが消失すると細胞分裂が出来なくなるのである。ここまでは今までも見たり、聞いたりして来た。

かつてこのテロメアを維持する酵素が発見され、”テロメラーゼ”と名付けられ不老不死への一歩と注目された。
番組ではこれを豚の皮膚に用いて実験したところ、繰り返す細胞分裂が”がん”を生み出したと言う。これを”死のシステム”とよび、不老不死を絶対にさせないために埋め込まれた仕組みだと続けた。

ただ一つだけテロメアが短くならないのが”生殖細胞”で、精子と卵子は無限に細胞分裂を繰り返し続けるとも紹介している。
無性生殖の単細胞生物に死はない。有性生殖の仕組みが死を生み、生物を進化させてきたそうである。
古い個体を引きずらずに新しい個体へと世代交代し多様性を維持して行く事で進化して来たと言う。

動物は生殖期が終わると死ぬが、唯一人類だけは閉経後も長い老後がある。むしろ早く生殖期を終えて長い老後に備えていると言う。
人間の幼児は特別に手がかかるために長い年月をかけて出来上がった仕組みで、これを発見した人物は”おばあちゃん効果”と名付けたそうである。
つまり親だけでは育てる事が難しく、子育てを祖父母が手伝うしくみなのだ。

この「ヒューマニエンス」にはMCとして、大好きな女子アナ”井上あさひ”が出演しているので今後も継続して視聴したい番組だ。



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