100年ライフに欠かせない私の趣味の一つが読書です。
このコーナーは「本と私」と題して印象に残ったものや時節にマッチした本、あるいは私の読後の備忘録などを紹介する場とします。

李登輝より日本に贈る言葉

2020年7月31日「李登輝元台湾総統の死去」を各紙が一面に掲載しました。
各紙ともに「評伝」を掲載しそれまでの外来政権の統治による血の歴史に終止符を打ち、無血革命により自由と民主主義の独立国家「台湾」を一人で作り上げた功績を讃えています。

李登輝より日本に贈る言葉
李登輝より日本に贈る言葉

第1冊目として紹介する本は「李登輝より日本へ贈る言葉」と題された一冊です。
この本は2014年4月今から6年前の91歳の時に著されました。

第1章「再生する日本」と題し第2次安倍政権の誕生に対する賛美と期待で始まります。
そして第2章「李登輝の台湾革命」では「自分史」に触れ、第3章『中国の歴史と「二つの中国」』で一国二制度を真っ向から否定する持論を述べています。
第4章「尖閣と日台中」以降が書名の日本に贈る言葉の核心へと迫っていきます。
第5章は「指導者の条件」で彼の描くリーダー像とエリート教育の必要性を訴え、第6章『「武士道」と「奥の細道」』は現在の日本人にもう一度自分たちの素晴らしい文化を見直し理解しなさいと訴えています。そして最後の第7章を「これからの世界と日本」と題し、坂本龍馬をまねて『平成維新のための「船中八策」』を提案し、日本の若者に自信と誇りをと締めくくっています。

この本は株式会社ウエッジの発行で、章立てのすばらしさと李登輝の思想と活動の全てを網羅した良書であると思いますので、ご一読をお勧めします。

このサイトのあちこちで「人生物語」とは今までの出来事を記録として記述するのではなく、点(ある出来事)と点を結ぶ筋書が必要であり、その山の高さと谷の深さが読み手に感動を与えると述べてきました。また筋書の中には何故その道を選んだのかの自己分析も要件となります。

これらの観点から第2章「李登輝の台湾革命」を読み解いてみましょう。

まず自分史の最初の点を「自我に苦しんだ少年時代」と題し、経済的に恵まれた家庭で、母親の溺愛の元に甘やかされて育った少年時代を自己分析し「こんな生活を送っていたら、ダメになってしまう」と危機感をもったと記しています。
スマホでご覧の方にはご不便をおかけすることになるかもしれませんが、第2章を読み解き図式化して整理しました。

李登輝より日本に贈る言葉李登輝第2章読み解き
李登輝の自分史読み解き

図式化を進めていく過程で、各々の人生のイベントをいかに線で結び、選択過程での自己の心情を分析するかについてさすが李登輝さんと感心することばかりでした。
この図は今後の「あなたの人生物語づくり」の参考になるに違いありません。